『この夏の星を見る 下』を読んだ。
上巻ではコロナ禍で制限された日常、制限された中でまだ掴めそうな糸を手繰り寄せようとする模様が描かれていた。そして下巻では糸が県も東西南北も越え、繋がっていくような印象を抱いた。
上巻から出ていたスターキャッチコンテストは制限された中で何とか手繰り寄せた糸。ISSの観測はスターキャッチコンテストから繋がった糸、オンラインでの活動だからこそ出来たイベントだった。
『今年の子たちは、いろいろ我慢してきたから、やらせてあげたいですよね』
『まったくなぁ』
皆が頷き合う。それを見て、綿引が言う。
「失われたって言葉を遣うのがね、私はずっと抵抗があったんです。特に、子どもたちに対して」
春からずっと、感じてきたことだった。
今年の子どもたちは、新型コロナの影響でいろんなものが失われた。奪われた。修学旅行、部活最後の大会、友達と机をくっつけておしゃべりしながらの昼食時間し本当なら、一緒に卒業できるはずだった友達と離れることさえ、仕方ない、と互いに言い聞かせながら、皆でそれを受け入れてきた。顔には常にマスクだ。
だけど。
「実際に失われたものはあったろうし、奪われたものもある。それはわかる。だけど、彼らの時間がまるごと何もなかったかのように言われるのは心外です。子どもだって大人だって、この一年は一度しかない。きちんと、そこに時間も経験もありました」

